キョンファ＆ツィマーマン／R.シュトラウス＆レスピーギ：vnソナタ

①リヒャルト・シュトラウス：
　ヴァイオリン・ソナタ 変ホ長調 作品18
②レスピーギ：
　ヴァイオリン・ソナタ ロ短調

チョン・キョンファ（ヴァイオリン）
クリスティアン・ツィマーマン（ピアノ）　ツィメルマン
録音：1988年7月

いずれもチョン唯一の録音で、R.シュトラウスは数種録音がありますが、レスピーギはたへん珍しいです。ツィマーマンとの共演もこれだけですが、異質の個性がぶつかった予想以上に聴き応えがあるアルバムに仕上がっています。

彩感に富んだ和声が新鮮な印象を与えるR.シュトラウス、ブラームスを思わせるような重厚で情熱的なレスピーギ。演奏機会の多くない近代作品を収録したアルバム。チョン・キョンファとクリスチャン・ツィメルマンが頻繁にデュオ・コンサートを行っていた頃の録音で、シャープでクリアな響きを本領とする二人のアンサンブルが作品の真価を明らかにしています。

顔合わせが豪華でも、内容が伴っていない演奏は山ほどありますが、これは違います。チョン・キョンファ―の情熱的なヴァイオリンとツィマーマンの抒情的なピアノがこの曲の良さを引き立たせています。ピアノの演奏が特に素晴らしいと思いました。R.シュトラウスとレスピーギはほぼ同年代の作曲家ですが、R.シュトラウスのヴァイオリン・ソナタ（1887年作曲）は、ロマン派そのものであるのに対し、レスピーギのヴァイオリン・ソナタ（1917年作曲）には現代的な要素が多く、このレスピーギのソナタに強く魅かれました。何れの作曲家も残したヴァイオリン・ソナタとしては唯一の作品になるようです。レスピーギがこのような官能的な美しい曲を残していたというのは意外。素晴らしい曲です。特に第２楽章は美しいと思います。出だしのツィマーマンのピアノがマリンバのような重量感のある不思議な響きを放っているのが印象的。優秀録音です。

チョン・キョンファとツィマーマンの煌めくようなソナタ・・・これ以上何を求めるのか？と思うくらい美しい。しかも、美しいだけでなく、適度の緊張感を保った凛とした美しい演奏です。



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